【ニュース】米海軍「水陸両用艦」の稼働率はなんと32%! 台湾有事×半島有事は日本にとって最悪のシナリオに!?



米海軍佐世保基地に2019年から配備されている強襲揚陸艦「アメリカ」(手前)と、ドッグ型輸送揚陸艦「グリーンベイ」。佐世保には5隻の揚陸艦が配備されている
米海軍佐世保基地に2019年から配備されている強襲揚陸艦アメリカ」(手前)と、ドッグ型輸送揚陸艦グリーンベイ」。佐世保には5隻の揚陸艦が配備されている

3月13日に配信し好評だった本サイト記事「日本は軍用機112機、艦船26隻を損失――。台湾有事ウォーゲーム『自衛隊大損害シナリオ』は現実となるのか!? 」。このウォーゲームシナリオでは米空母2隻が撃沈したが、長崎・佐世保に根拠地を置く、米海軍海兵隊を乗せる米海軍上陸艦隊は必要がないのか、何故か登場していなかった。

【画像】米海軍の「水陸両用艦」たち

するとその後、この記事に登場した米海軍海兵隊を専門に研究する政治学者・北村淳博士から続報が入った。

「先ほど海兵隊と海軍から連絡があったのですが、米海軍の水陸両用艦の稼働率がついに32%という史上最低記録を打ち出してしまったとのことです。

この酷い状況ですと緊急出動は困難で、昨年2月のウクライナ戦争勃発時には水陸両用艦の準備が遅れ、海兵隊の出動は遅延。先月のトルコ大地震の際には水陸両用艦が用意できず、海兵隊は出動できませんでした。中国軍の笑い声が聞こえてきそうです」

サンディエゴ基地を出港する強襲揚陸艦「ボクサー」。艦尾に見えるゲートが開くと艦内のウェルドックに海水が入り、揚陸艇や水陸両用装甲車を発進させることができる
サンディエゴ基地を出港する強襲揚陸艦「ボクサー」。艦尾に見えるゲートが開くと艦内のウェルドックに海水が入り、揚陸艇や水陸両用装甲車を発進させることができる

通常、米海軍の稼働率はどれくらいのものなのか?

「70%は維持したいというところです。米海軍当局は80%を目標に掲げていますが、過去10年間の平均は50%を切っています

現在の米海軍造船所のレベルですと50%を突破するのがやっとです。これは米海軍造船所の機材全てが老巧化し、熟練技術者も欠乏し、そこにトランプ時代の新造艦建艦作業が加わり、メンテナンスまで手が回らないことが原因です」

ドック型輸送揚陸艦「アシュランド」のウェルドックからエアクッション型揚陸艇(LCAC)が発進する様子
ドック型輸送揚陸艦「アシュランド」のウェルドックからエアクッション型揚陸艇(LCAC)が発進する様子

であれば、仮に台湾有事で米海軍佐世保基地の強襲揚陸艦が使えず、太平洋を越えたサンディエゴ基地から来航も不可能となると、米国東海岸ノーフォーク基地からの発進となる。

「有事の際、米海軍パナマ運河を使いません。アフリカ大陸の喜望峰周りか、南米大陸のマゼラン海峡経由となります。強襲揚陸艦隊が東京湾に到着するのは米海軍の見積もりだと40日はかかるようです」

強襲揚陸艦「ワスプ」のウェルドックに格納されたLCAC。艦内の車両デッキに搭載された車両をLCACの前部ランプから載せた様子
強襲揚陸艦「ワスプ」のウェルドックに格納されたLCAC。艦内の車両デッキに搭載された車両をLCACの前部ランプから載せた様子

強襲揚陸艦「ワスプ」の航空機格納庫。オスプレイ輸送機やF35Bステルス戦闘機が整備のために格納されている
強襲揚陸艦「ワスプ」の航空機格納庫。オスプレイ輸送機やF35Bステルス戦闘機が整備のために格納されている

強襲揚陸艦「ワスプ」の航空機格納庫。奥は海兵隊の大型輸送ヘリコプターCH-53E。左は海軍の洋上捜索救難・人員輸送を担当するMH-60S多用途ヘリコプター
強襲揚陸艦「ワスプ」の航空機格納庫。奥は海兵隊の大型輸送ヘリコプターCH-53E。左は海軍の洋上捜索救難・人員輸送を担当するMH-60S多用途ヘリコプター

先の特集で<米軍と自衛隊が参戦して防衛作戦を2~4週間続行し、侵攻は失敗に終わる>と書いたように、戦争は終わっているのだ。

自衛隊参戦の場合、中国は各種ミサイルによる飽和攻撃を、発電所、石油備蓄基地、浄水所、港湾・航空施設に実施します。2週間も続けば日米同盟は崩壊状態に陥り、米艦隊が東海岸から到着する頃には日本の国民は電気・水・食糧に困窮した状態に陥ってます」

ドック型輸送揚陸艦「メサヴェルデ」の飛行甲板。特殊作戦に使用するMH60SやMH60Lを同時に4機発着艦させることができる広さ
ドック型輸送揚陸艦「メサヴェルデ」の飛行甲板。特殊作戦に使用するMH60SやMH60Lを同時に4機発着艦させることができる広さ

強襲揚陸艦は強襲作戦の洋上航空基地。標準的な編成ではオスプレイ10機、CH53輸送ヘリ4機、AH1Z攻撃ヘリ4機、UH1Y汎用ヘリ3機、F35B戦闘機6機、MH60S汎用ヘリ2機
強襲揚陸艦は強襲作戦の洋上航空基地。標準的な編成ではオスプレイ10機、CH53輸送ヘリ4機、AH1Z攻撃ヘリ4機、UH1Y汎用ヘリ3機、F35B戦闘機6機、MH60S汎用ヘリ2機

沖縄の米海兵隊は今や「沿岸連隊」となり、重要な任務がある。各離島に中国軍より早く、地対空地対艦ミサイルを携えて迅速に展開するためには艦艇が必要。米海軍佐世保基地には強襲揚陸艦の他に揚陸艦5隻がいる。32%稼働率ならば、1.6隻しか動けないのか。

「心配ありません。横須賀、佐世保の米第七艦隊のメンテナンスは日本企業が請負っており、極めて稼働率が高いです。佐世保の水陸両用艦は常時3隻、即応態勢を維持しています」

佐世保基地の揚陸艦が作戦に使えないときは、米西海岸のサンディエゴ基地から揚陸艦部隊が西太平洋に派遣される。写真はサンディエゴ基地のドック型輸送揚陸艦「アンカレッジ」
佐世保基地の揚陸艦が作戦に使えないときは、米西海岸のサンディエゴ基地から揚陸艦部隊が西太平洋に派遣される。写真はサンディエゴ基地のドック型輸送揚陸艦「アンカレッジ」

サンディエゴ基地の揚陸艦も数が足りなくなると、東海岸のノーフォーク基地から揚陸艦部隊が派遣される。日本まで40日間はかかるらしい。写真左は強襲揚陸艦「イオージマ」
サンディエゴ基地の揚陸艦も数が足りなくなると、東海岸のノーフォーク基地から揚陸艦部隊が派遣される。日本まで40日間はかかるらしい。写真左は強襲揚陸艦「イオージマ」

ならば、米海兵沿岸連隊は台湾有事には即応可能で安心だ。だがもし、台湾有事と同時に「半島有事」となった場合、32%の稼働率とは米海軍にとってどうなのか。

「完全に致命的です。第七艦隊の艦艇だけでは対応できず、各基地から艦艇を集めなければなりません」

台湾有事の際、沖縄米海兵隊の沿岸連隊はうるま市勝連にあるホワイトビーチから揚陸艦を使い各離島に展開し、地対空、地対艦ミサイルで中国軍を迎撃する
台湾有事の際、沖縄米海兵隊の沿岸連隊はうるま市勝連にあるホワイトビーチから揚陸艦を使い各離島に展開し、地対空、地対艦ミサイルで中国軍を迎撃する

となると、海自揚陸艦部隊に陸自水陸両団を載せ、米海軍海兵隊の増援で防衛出動となるのだろうか?

米海軍の揚陸艦が不足する事態になれば、海上自衛隊の「おおすみ」型輸送艦が出動する可能性はあるのか...
米海軍の揚陸艦が不足する事態になれば、海上自衛隊の「おおすみ」型輸送艦が出動する可能性はあるのか...

そこには日本版の海兵隊である陸自水陸機動団が乗る
そこには日本版の海兵隊である陸自水陸機動団が乗る

「半島有事での米海兵隊・米陸軍増強のために、米韓支配地域、及び、北朝鮮軍の弱体な地域に上陸作戦を実行するでしょう。北朝鮮軍の側背を突く困難な強襲上陸は、韓国の海兵隊が担当です。この時、米司令部は勇敢なる自衛隊北朝鮮軍側面攻撃のために投入するかもしれません」

いま、日韓のシャトル外交も復活し、米韓日三国同盟はさらに深化していくだろう。

取材・文/小峯隆生 写真/柿谷哲也

米海軍佐世保基地に2019年から配備されている強襲揚陸艦「アメリカ」(手前)と、ドッグ型輸送揚陸艦「グリーンベイ」。佐世保には5隻の揚陸艦が配備されている


(出典 news.nicovideo.jp)

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また週プレか…