【ニュース】日本人の平均給与額は24年前の「467万円」がピーク…企業の利益は3倍も、給与が「まったく増えない」ワケ



日本人の年間給与額平均がピークに達した1997年あれから24年経ち、企業は順調に成長。経常利益の伸びはおよそ3倍となりました。しかし、給与額は増えるどころか減っているのです。そして、日本では2023年4月までに7,000品目以上の値上げが予定されています。このような環境下で私たちは自らの資産をどのように守っていけばよいのでしょうか。鎌倉投信の代表取締役社長である鎌田恭幸氏が解説します。

インフレが示唆する「重要なメッセージ」

年明けからの株式市場は、インフレや政策金利の上昇スピードが弱まるとの見通し等から回復基調で推移しています。

一方で、国際通貨基金(IMF)や世界銀行は、2023年の世界の経済見通しについて、インフレの進行やさらなる政策金利の引き上げ、発展途上国からの資本流出、ウクライナ情勢といった地政学的な懸念などから急激に鈍化する可能性を示唆しています。

今年の金融市場も、昨年に続き、インフレと金利、景気、地政学リスクといった四つ巴の状況が続きそうです。

そうした世界的なインフレ圧力と景気減速が懸念されるなか、どのようなスタンスで資産運用に取り組めばよいか。私が伝えるメッセージは、常にシンプルです。

大きな環境変化や不安定な相場環境のなかでは、複雑な投資手法や金融商品を選ぶのではなく、原理原則に沿ったシンプルな投資をおこなうことが成功の要になると考えます。たとえば、次の2つの視点は重要でしょう。

①株価(価格)ではなく、価値に着目する

インフレとは、分かりやすくいうと、お金の購買力(お金の価値)が下がり、モノの価値が高まることをいいます。一時的に株価などの価格が下がったとしても、実体としての価値に着目して投資対象を選択することがよい結果につながることは、様々な場面で歴史が証明してきました。

一般に、実物資産である不動産や金などもインフレに強いといわれますが、経営を取り巻く環境が目まぐるしく変化するなかでも持続的に発展・成長する企業の株式や、そうした企業が発行する株式を投資対象にした投資信託などは、身近さや利便性などの観点からも有力な投資対象となりえるでしょう。

インフレによって値段(株価)は下がっても、企業の事業価値や資産価値は同じように値下がりするものではありません。むしろ、将来にわたって価値が高まるものを安く買うチャンスである、といえるのではないでしょうか。

リターン(利益)は、価値から生まれ、価格は価値に収斂するのです。

②予測せず、感情に流されず、シンプルに投資しつづけること

急激な物価上昇局面では、債券も株式も同時に値下がりし、資産分散の効果は発揮されません。そうしたインフレショック時において耐久力のある運用戦略といえば、インフレに強い資産を投資対象にした「長期投資」と「つみたて投資」です。つまり、予測せず、感情に流されないシンプルな投資手法です。

たとえば、狂乱物価と呼ばれた1973年に起きた第一次オイルショック以降の日経平均株価指数を振り返ると、消費者物価上昇率がピークをつけた1974年をボトム(オイルショック前年から約36%下落)に株価は上昇に転じ、5年目にはプラスになりました。

この間、仮に同指数につみたて投資をしていれば、最大の評価損率はマイナス20%程度にとどまり、4年目にはプラスに転じています。さらに、厳しい経営環境下においても、企業は省エネ技術を革新させるなどして企業価値を高め続けたことが、オイルショック後の株価上昇をけん引しました。

予測に賭けて、上昇のタイミングを逃すリスクの方が、シンプルに投資し続けるリスクよりも大きいのです。

日本が抱える「根本的な問題」

足元のインフレを少し俯瞰した時、日本が抱える根本的な問題が観えてきます。一例を挙げると、意外に思われるかもしれませんが、世界的にみた日本の「インフレ率の相対的な低さ」です。

日本の12月の消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合、前年同月比)は、41年ぶりにプラス4.0%となるなど、私たちの家計に重くのしかかっているのは事実です。

しかし、日本は、エネルギーや食糧の自給率が極めて低く、かつ円安で輸入コストが上昇しているなかで、そのインフレ率が世界のあらゆる国のなかでも最低水準であることには違和感を覚えます。どこかに歪みが生じているのではないでしょうか。

この点について、経済学者の渡辺努氏は、著書「世界インフレの謎」(講談社現代新書)のなかで、この状況を「日本が世界各国から取り残されている異様な状態、デフレ慢性病にある」と述べています。

その理由として「日本は、輸入物価の上昇分を国内価格に転嫁できていない度合いが他国と比べて突出して高い」ことを挙げ、日本人の「値上げ嫌い」と、モノ・サービスを提供する企業の「価格据え置き慣行」といった心理が背景にあると分析しています。

日本は、渡辺氏の言葉を借りれば「価格と賃金が凍りついてしまった」異常な状況を長く続け、適度なインフレがもたらす経済のプラス循環を形成せずにきました。日本人は、自分たちが作ったさまざまな商品、サービス、さらには労働力も自らが安売りしているようにも映るのです。

その賃金に目をむけると、日本人の1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与(年)は、1997年の4,673千円をピークに四半世紀にわたって下がり続け、2021年には同4,433千円になっています。そのうち、非正規就業者の割合は全体の37%にも達しており、その平均賃金は、1,976千円と非常に厳しい状況です(国税庁「民間給与実態統計調査結果」、総務省「労働力調査」)。

その間、企業の経常利益額(法人企業統計全産業,除く金融・保険)は、3倍に伸びているにもかかわらず、です。

これからの時代…個人に求められる姿勢

「市場にゆだねる資産運用」から「未来をつくる投資」へ

足元のインフレは、確かに想定外で、家計や経済にマイナスの影響をもたらすでしょう。

しかしその一方で、日本の慢性疾患ともいえるデフレマインドから脱却し、健全な経済状態に回帰させることが求められます。

そのためには、金融を緩和することで今の形の経済・社会を支えるのではなく、経済・社会の構造転換に軸足をおいたさまざまな施策が不可欠でしょう。

翻(ひるがえ)って「資産運用」と、投機ではなく「投資」の違いを考えてみましょう。

資産運用は、基本的に、現在の経済・金融システムのなかで、将来高まるであろう価値の増幅を享受するものです。一方で、投資とは、それと同時に、投資の仕方によっては、経済や社会の構造そのものを変えてゆく力にもなり得ます。

これからは、個人においても、「市場にゆだねる資産運用」から「未来をつくる投資」がふえることが大切です。

後で振り返ったときに、期せずして訪れたインフレが、日本の慢性的なデフレを克服する転機になっていることを期待しています。

鎌田 恭幸

鎌倉投信株式会社

代表取締役社長  



(出典 news.nicovideo.jp)

わんこ

わんこ

経団連を解体でもしなきゃあかんやろなぁ

her

her

義務教育で政治と経済をちゃんと教えないから、民主主義と資本主義の国なのに、関心と知識が全く足りてない。自分も人のこと言えんが…。投票率が低い、値上げアレルギー、アホ臭ぇ詐欺にコロコロ引っ掛かる、漫然と増を受け容れる、公金の使われ方に興味がない等々、国体を維持・運営するための教育が足りない

緑雨

緑雨

低所得者を愛国心(アメリカ絶対服従)で手繰り寄せ、下層階級に男女間、人種間、所得間、国家間(ロシア・中国・韓国という仮想的国)の対立構造作りメディアでそれを煽り相互監視させる。実は日米が一番の社会主義国であり監視国家である。

山田太郎

山田太郎

手のひら返し記事はええなw

『名前なし』

『名前なし』

全員が自営スタートで始めないと無理。正社員が正義だからこうなる

さく

さく

平均値にカウントされない専業主婦が減って少しだけ働く非正規(パート、アルバイト含む)に移行してるんだからその分平均給与が下がるのは当たり前。正社員だけの比較じゃないと何の指標にもならない