【ニュース】世界最大のコロナ感染エリアとなった日本と韓国
7月28日、日本の新型コロナウイルス感染症新規罹患者は23万3094人を数え、過去最悪の記録となりました。
その後も毎日22万人以上の新規罹患が続いており、7月30日までの1か月間に日本で発生したコロナ新規罹患者は合計約327万人。
ちなみに7月1日時点での過去2年半の累計罹患者数が930万人。これがたった1か月で35%も増え、8月第1週で1300万、月半ばに1500万人を超えるのは、まず確実な情勢です。
ところが、これを一面で伝えるメディアは少なく「コロナ慣れ」が極端に進んでいることが痛感させられます。
しかし、先ほどの「1日23万人」という記録が単に「日本新」というだけでなく、現状で「世界最多」最悪でもあるという事実を読者はどの程度ご存じでしょうか?
今回は、東京大学ゲノムAI生命倫理研究コアでの議論、下手をすると「日本/韓国株」が次世代コロナの「主役」となってしまう可能性を平易な現象論で解説します。
冒頭に、7月最終週、全世界で発生した新型コロナウイルス感染症新規患者の国別分布を示しました。
トップは日本、それを2位の米国、3位の韓国が追い、4位以下、ドイツ、イタリア、フランス、オーストラリア、ブラジル、台湾、メキシコが追う、ワースト10を示しておきます。
五輪やスポーツでは「日本がトップ」というと盛んに喧伝する我が国のマスコミですが、こういう実情をどの程度、日本の報道陣が理解しているか。
身近で確かめた範囲では「皆無」という残念な結果になってしまいました。
今年の夏のコロナは「罹っても軽症が多い」ので、政府は特段の人流制限を設けないという残念な政策判断を下しています。
それがどういう結果を導くかデータに基づいて警鐘を鳴らします。
こうした内容は、興味本位を悦ぶ一般メディアではきちんと読まれない懸念が高く、率直に心配しています。
WHO(世界保健機関)が緊急事態宣言を出した「サル痘」についても、LGBT特定サークルでの蔓延を強調する疫学的な誤解を与えかねない報道が流布しています。
誤った先入観が広がっている可能性が高く、日本国内の防疫事情はかなり厳しいものがあります。だからこそ、意識ある読者に向けて、出稿しています。
致死率から考える「ウイルスの性質」
いつの間にか、世界最悪の「コロナ大国」に<成長>していた日本。その事実を日本人はどの程度自覚しているでしょうか?
報道陣すら認識していないので、答えは言うまでもないでしょう。上の週間集計では2位の米国に1.5倍以上の差をつけ、日本と韓国だけで全世界の3割に及ぶコロナ患者を生み出している。
「でも、今回のコロナは<弱毒>だから、大丈夫なんでしょ」といった風説が、逆説の逆説でとんでもないことになってしまう。
結論を先にお見せしておきます。7月最終週、すでに日本の1日あたりコロナ死者数は3桁に到達しており、この夏多数の犠牲者が出ることが懸念されます。
本稿ではこうした現象の背景となるメカニズムを「東京大学式」で順を追って説明いたしましょう。
東大式とは、無前提な天下りがなく、考えの道筋がすべて透明に見える記述式ということです。
まず、先ほどの「世界コロナ・ワースト10」各国の「週間死亡者数」を見てみましょう。
日本の死者数は1週間で552人。これに対して死者数トップの米国は2273人で4倍も犠牲者数がある。
2位のブラジル1549人 3位イタリア1200人と2倍、3倍亡くなっており、今回の日本のコロナ感染は「致死率」が低いことが察せられます。
「ほら、言った通りだ。今回のコロナは弱毒だから、心配する必要はない。人流規制なども不要、過去2年コロナで疲弊した日本社会経済を、再活性化させるのが急務」
こういった議論を最も単純なデータ解析もすっ飛ばして行うべきか、を大学の観点から問うていきましょう。
上で世界各国の「新規感染者数」と「死者数」が並びましたので、その比を取れば、大まかな「致死率」が評価できるはずです。
実際に、やってみましょう。
計算してみると、ほら・・・。
ざっくりとした計算ですが、日本の致死率が極めて低いことが分かります。いや日本と韓国だけ、極端に低いのが分かります。
「致死率が低いんだ、よかったよかった」となるでしょうか?
上のグラフをもう一度よく見直してみましょう。
左側に並ぶ日本や米国は、他の各国に比べ、けた違いに感染者数が多いエリアで、ワースト3の韓国まで合わせると、世界の半分弱の患者をカバーしてしまう。
その中で、日本と韓国だけが、明らかに「致死率」に違いがある。
それも単に多いとか少ないではなく、はっきり「桁違い」に、日韓両国の致死率だけが低い。
ここまでくると、これは「病原体が違う」つまり「別の変異株」と考える方が、妥当である可能性を、こうした臨床データは示唆しています。
これはつまり、流行している病原体の性質が異なっていること、もっと分かりやすく言えば「日本/韓国型」というべき、新たな変異株の流行が、東アジアで始まっている可能性を示唆している・・・。そう見るべきでしょう。
ここで重要なことは日本だ韓国だといった小競り合いではなく、相手を選ばないウイルスの毒牙に罹って、日韓両国で「新変異株」が増殖しているリスクの認識であり、国際協調のもと適切な対策を講じることが肝要です。
日本と韓国が世界最大のコロナ感染エリアとなっている現実を直視する必要があります。
韓国と日本の罹患者数、死亡者数推移
グローバルな趨勢を見た上で、改めて日本と韓国の2022年7月の感染者数、ならびに死亡者数の推移を見てみましょう。
7月1日時点での感染者数は韓国1に対して日本が2倍強。これはつまり、両国の人口比から考えて自然な、同程度の蔓延を反映するものと考えて構わないでしょう。
ところが7月2週以降、オレンジ色で示した日本の患者数は「倍々」ゲーム式に爆発的に伸びていき、第3週時点で2021年8月「東京オリンピック感染」でのピークを超えてしまいます。
これに対して、韓国の出足は一見すると日本ほど鋭くありません。やはり7月2週3週と患者数は増加していますが日本ほどの激増は見せていない。
ここで、あくまで参考値としてですが、日日の致死率をプロットしてみると興味深い推移が確認できます。
データは揺動を見せながら推移しますが、7月初日にほぼ同一の高い致死率、0.1%近辺の値を見せていた日韓両国で、日本の致死率が先に下がり、韓国がそれを追っていきます。
もちろん患者数が増加していますから、致死率は下がって当然です。
しかし、分母も分子も変化している中で、その比を取ると日数を経るにつれてその行く先がほぼ同一の新しい値、約0.03%近辺に収束して行く傾向がうかがえます。
病気の正体を掴むには、現象論的には、まずこうした点を見なければなりません。
後づけになりますが、病原性ウイルスの変異株割合と突き合わせることで病原体の「置き換わり」との対応が確認できます。
昨年「週刊新潮」などにも掲載した、2021年春先インドでの「デルタ株」への置き変わりを臨床致死率で示す私たちの解析と同様の評価になります。
いま韓国や日本で確認される「致死率の低い病原体」が、従来株より明らかに強い感染力を持った場合、死者の絶対数が過去最悪を記録する可能性も考えられます。
2020年春に始まったコロナ・パンデミック、日本は一貫して米国を中心に「コロナ先進国」の動向を横目に対策を立てて来ました。
しかしいまや、米国を抜いてグローバルに最悪の「コロナ大国」となってしまった。
従来なら「海外から新変異種が入らないように」水際作戦を工夫していたわけですが、もし「日本発」の新変異株であった場合は、その手で「防ぐ」ことはできません。
本来なら「日本発」の防疫を適切に工夫すべき曲がり角に差し掛かりつつあると言ってよいでしょう。
「外向き目線」の「右へ倣え」をそろそろ卒業せねばなりませんが、すぐに改まることは期待できないでしょう。
政府から「行動制限」などの措置が講じられないうちにも、自主的に対策を取ることを、重ねて強くお勧めしておきます。
今日もまた、20万人規模の「新規感染者」が間違いなく発生するでしょう。あなたが、私が、その中の1人にならないことが重要です。
そのためには「感染確率」すなわちリスクを減らす以外に方法がありません。家族や自分の身は、自身の工夫で守るしかない。
防疫に有用な、より進んだ解析も、リクエストがあれば公開を考える念頭です。
[もっと知りたい!続けてお読みください →] 「サル痘はLGBTの病気」説に惑わされるな!
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(出典 news.nicovideo.jp)
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